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−民藝−

 民藝とは「民衆的工芸」という意味で、大正末期に柳宗悦らによって創られた言葉です。鑑賞を主な目的とする美術工芸品に対して、人々の暮らしの中で使われる丈夫で美しい品々のことを民藝品と呼びます。
 日常生活のなかで使う物には、用途に直接結びついた美が備わっていると考えたところに、「民藝」という考え方の特色があります。


−民藝品の性質−

 民藝品の性質には、民衆性、実用性、多数性、安価性、協力性などがあります。初代館長 外村吉之介の言葉を引用して少し詳しく説明すると、

  • 民衆的なもの: 民藝品は貴族的な特別品ではない。民衆の中で作られ民衆の中で使われるものである。
  • 実用的なもの: 民藝品は趣味品でもなくぜいたく品でもない。日常の実用品として用を離れることはない。
  • 数多く作られるもの: 広く生活に結びつくためには、多く作られねばならない。これは民藝品の根本の性質である。
  • 安価を旨とするもの: 民藝品は一般の民衆が購入できる値段が本旨である。高いものは実用品になれない。
  • 健康なもの: 日々のように働くものは健康な性質が要求される。病的なものは実用に耐えない。
  • 簡素なもの: 姿形の単純さこそ民藝品の特質である。複雑な装飾は用のさまたげになる。
  • 協力的なもの: 個人の仕事は民藝品になりきれない。民藝品は工人達の協力から生まれ、公の美を示す。
  • 伝統に立つもの: 伝統によって永い先人の知恵の恵みをうける民藝品は、個人の力を超える。

 このような性質の民藝品を尊ぶ見方は、美術工芸品を崇める人々から冷遇されましたが、西欧の人々の間に早く反応が起り、民藝美の精神への共鳴は世界的に広まるようになりました。そして今日では工芸を論ずるときには民藝の「用の美」論が欠かせないものとなりました。


「民藝館の役目」外村吉之介書


倉敷民芸館では、 ご来館くださった皆様方が、昔のものを懐かしむだけではなく、普段の生活に少しでも手仕事の美を、 取り入れていただけるよう、そのきっかけをつくる場でありたいと願っています。

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